
一年間続いた腹痛が改善した
- shirouchi
- 3 日前
- 読了時間: 3分
更新日:2 日前
10歳 男児
経過
昨年2月より腹痛が継続してる。
朝起きると腹痛で小学校に通えない日が多くなり、現在ほぼ不登校となってしまった。
病院受診して、過敏性腸症候群の診断を受け、
ストレスの関与もあると指摘されるが思いあたらない。
今年の5月31日に内科を受診して画像検査を行うと左下腹部に便が詰まっており、便秘のため酸化Mgと下剤を処方される。
お腹が痛いので、下剤を使うと水様便となり、固い便は出ない。また薬を飲んでも痛みは治らず、腹痛は夜が最も辛く、夜中も痛くて目覚める事もあり、ちょっとした音で起きてしまい睡眠も浅い。夜中は3回ほど起きてしまう。
通常、朝6時に目覚めても、腹痛で学校へ行けない。同時にめまいも起こり、白いモヤがかかって意識が遠のく感じがする。
9月から学校に通いたいため、お父さんの勧めで当鍼灸院に来院される。
◎中医学的診察
初診 7月16日
望診 痛みのため元気なく表情が暗い
肥満体型
舌診 舌質淡紅苔少
脈診 脈沈弱 尺部感じず
問診
お腹の痛みは常にあり、夜が一番痛く、朝起きても痛い。お腹の奥の方が全体的に張って重い痛みがある。上腹部より下腹部に痛みが強く、特に臍の下と左下腹部痛が強い。
学校に行きたいがお腹が痛くて行けない。
朝は、食欲はないが、母親の作る野菜スープを飲むとお腹が少し楽になる。食事は昼と夜の1日2食の事が多い。
午前中に下剤を飲むといつも水様下痢がでる。下剤を飲まないと便が出ないが、たまに飲まずに出る事があり、その時は大きな普通便が出る。お昼頃からお腹の痛みも軽減して痛みは楽になる。
普段は暑がりで、汗をよくかく。
水は1日1.5リットル程は摂っている。
1年前の腹痛が初めて起きた時の状況を振り返ると吐き気があった事を覚えている。普段ストレスは特に感じることはないが、兄が中学受験を控えていたため、心配をしていたかもしれない。
切診
臍中周り、足内側、腰周り冷たく、特にお腹の表面は冷えている。
痛みのある下腹部は押すと圧痛が強く、奥に熱を感じる。左下腹部は特に圧痛が強い。全身汗をかいている。疲れは特に感じていない。
治療
弁証 脾気虚証(気秘による不通則痛)
治法 健脾益気温中 通腑大腸
小児推拿「捏脊法」
配穴 下記の中から選択し少数穴にて配穴
百会 合谷 支溝 脾兪 気海兪 腎兪 大腸兪 大椎 命門 上仙 長強 次髎 理便穴
足三里、上巨虚、三陰交、太渓 太衝
中脘 建里 天枢 大横 関元 府舎
臍中(箱灸)など
一年間続いた腹痛も、約1ヶ月半週2回の鍼灸治療で改善した。
10回治療以降辺りから痛みが楽になってきて、下剤も飲まずに普通便も出るようになってきた。12回治療で腹痛はほぼ完全に無くなった。
ご本人も
「痛み自体はもうない。いつでも学校に行けるよ。」と言っている。
今回は、ご家族にもご協力いただき、家でも、背中の小児推拿「捏脊法」のやり方を紹介して実践して頂いた。
ご本人の治したい気持ちと、ご家族の協力もあり、9月からは小学校に通えそうだ。
夏休みの宿題も終わっているとの事。
家でのゲームも楽しいが、痛みから解放され、これからは学校へ通い、仲間や友達と楽しい時間を過ごしてほしいと思う。
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