74才女性
2年前に、外傷性左上腕骨骨頭骨折にて人工関節OPEを受け、以降左第5指の痺れを感じるようになった。病院にて肘部管が原因であると診断され、その後肘部管のOPEを受けるが、1年経過しても痺れの改善がみられず、病院では治らないと言われた。
そのため、鍼灸院や様々な治療を試すが効果は感じられず、当鍼灸院を受診される。
また、腰は重く左大腿部前面の痺れもある。腰部ヘルニアの既往歴があり、痺れの部位からすると上部腰椎の可能性がある。
◎触診
左前腕部は、肘から尺側(小指側)が冷たく冷えている。腰回りも冷えがあり陽気の巡りが、あまり良くない。
左小指の痺れは常にあるという。
頸椎ヘルニアの既往歴もあるため、頸部、肩関節、尺骨神経の走行にあるツボなどもとり治療する。
身体の方は、便秘や冷え疲れやすい、口乾き、不眠などもあり、運動器の辛い症状と合わせて治療していく。
◎中医学的診察
脈細数弦 尺部沈
舌辺尖紅苔少歯痕舌
◎弁証
心腎不交
腎虚があり陽気が足りず、冷えが生じている。
また、同時に腎陰不足もあり、心陽の熱を冷ます事ができず、不眠などの症状もある。
また、上肢の尺側は、手少陰心経や、手太陽小腸経などの経絡が通っており、まさに痺れの部位とも重なってくる。
治療としては、西洋医学的な解剖学に基づいた治療と、中医学に基づいた全身治療を合わせて行う。
今日で7回目の治療。
下肢大腿部の痺れ痛みはだいぶ改善されて、
症状は出ていない。しかし、手の痺れはまだ改善はないが冷えは取れてきた。
細かい変化を見ながら、今日は百会にお灸(灸頭針)も行い様子をみた。
施術中はお灸の熱を感じなかったので、2回行うが、あまり分からないという。
百会は、気血が集まる場所であり上の方まで気の巡りが巡っていない様子。
これも継続して治療していく。
治りにくい難しい病気や症状は、経過を追いながら治療するしかない。
早く改善して痺れから解放されて欲しい。
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