ぼこぼこと低い音が耳の奥でする耳鳴りの治療。
以前から耳鳴りはあり元々は金属音やいろいろな音が聞こえて一日中鳴っていた。
治療して、一時回復して耳鳴りは気にならない程度まで良くなっていたが、最近1ヶ月くらいでまた耳の調子が悪くなってきた。
以前の高い金属音の様な耳鳴りは、
中医学において実証性の耳鳴りで、ストレスや緊張が高まると起こりやすい。
そこで、ストレスと関係が深い肝の治療をする事で耳鳴りは治った。
今回の耳鳴りは低い、ぼこぼことする音である。
身体の状態をみてみると、脈弱く尺部が沈んでいる。舌は白く苔は薄白である。
仕事もそこまで忙しいわけでなく、日常生活では睡眠も取れており特に変わりない。冷えも本人は感じていない。
しかし身体を触ってみると足先から内側にかけて冷たく冷えている。
おそらく舌や脈からも身体の中に冷えがあり、
特に腎気が弱くなっており、全身的な気の低下から陽虚傾向となっているが、まだそこまで症状は酷くないため自覚も少ない。
本日の治療は、耳周辺のツボをとり気血促通をかけるため耳に灸頭針を行う。
また全身的な治療として、腎気を補うために
足少陰腎経の原穴である太渓に灸頭針を行い、
より気血が巡る足陽明胃経の足三里にも灸頭針を行い温陽をかけ気血を補う。
特に腎は耳との繋がりが深く虚証の耳鳴りは腎を疑う事が多い。
全身治療したあとは、耳がスッキリして耳鳴りも重い感じが無くなった。
「いつもこの状態ならいいんですけどね~」
と患者さんが漏らした。
確かに、前回治療も鍼の効果が2〜3日で以降耳鳴りが出てきて気になっていた。
鍼灸は、効果があるが西洋医学の薬と違い化学的に身体の変化をさせる訳でないため、ある程度良い状態までの回復は時間がかかる。
しかし治療を繰り返す事で、一旦自己治癒力が出て自身の力で回復できると効果は長く続く。
早く良くなってほしいものだ。
鍼灸は、副作用も殆どなく鍼の刺激程度の問題だから、やっぱり素晴らしいと思う。
当院では、耳や目鼻など顔周辺の五感に関する病気も治療しているので、もし気になる症状があれば、ぜひご相談ください。


Commentaires