50代男性
以前に突発性難聴にて治療した患者様ですが、難聴の閉塞感は取れて一時期治ったかの様に思えたが、5月に入ってから、以前の様な耳の閉塞感は無いが、耳鳴りが酷くなってきた。
以前治療した時は、気の力が足りず冷えがあり、脈も小さく弱かった。陽気を補う事で耳鳴りも改善していったが、どうも今回の症状は以前と違う感じがした。
顔も少しこわばっており脈をみると、弦脈で硬く舌は紅い。
最近の様子を伺うと、冷えもなく睡眠も取れており体調はとても良いのだが仕事が忙しくストレスも多いらしい。
春の時期は、陽気が上がり気の動きを調節する肝臓が影響を受けやすいため、怒りやすくなりストレスも多くなりやすい。
状況と問診などから今回の症状が、肝気が上逆して熱を生み肝火となった肝火上炎証と判断して治療する。
ベッドにうつ伏せで寝て頂き、後頭部の
風池、完骨、天柱などのツボを取る。
背中の左右の肝兪というツボに鍼を刺して、
手で操作する(雀たく捻転瀉法/1分間)。
そうすると、鍼の操作をしているうちに、
耳鳴りがどんどん大きくなってきて、鉄骨の様な金属音が響き、患者様が辛くなってきたが、
我慢していると、急に耳鳴りが抜けてきた。
その後、腎兪、命門というツボにも、鍼の操作をして(導気法)腎気を補った。
気がつくと耳鳴りがピタリと病んで無くなってしまった。
この後も、身体の表面の治療を行い全身治療をする。帰り際には嘘みたいだと、爽やかな顔になっていた。
耳の症状であるが、背中のツボを選択して治療した一例である。
症状により時に強い刺激も必要だが、患者様の信頼あっての効果であった。
鍼灸の奥深さと面白い症例である。
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