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急性腰痛に吸角火罐法

執筆者の写真: shirouchishirouchi

30代女性

中間管理職で、週5日勤務で残業やストレスも多く大変である。


2週間前に腰痛の訴えで来院された。初回治療で、腰痛は殆ど痛みも無くなったが、本日また腰痛をぶり返して、特に左腰が辛いとの事。しかも前回の腰痛の時より辛いらしい。


《診察》

立位は、やや前傾姿勢にて、腰部を固めて立っている。椅子に座って前屈後屈すると、

前屈は全く問題なく後屈にて左腰が痛む。

もともと、腰椎ヘルニアの既往があり、椎間関節性の腰痛だろうと思われる。


早速背中の状態を確認すると、左の胸椎9番10番辺りの筋肉の張りが、ものすごく強い。

ここは肝臓のツボ『肝兪』であり、ストレスとも関わりが深い。そこで、ご本人に確認すると、やはり今日強いストレスがあったらしい。

この背中の筋緊張から、腰部関節や軟部組織が神経圧迫し、腰痛を引き起こしているだろう。


中医学的診断

ストレスによる、※1 肝気鬱結 


※1 肝の臓は、気機(気の巡り)の調節を行っているが、ストレスにより気を滞らせて鬱結している状態。=気の巡りが悪い状態

また肝血は、筋を滋養しているため肝のトラブルは、肩こり腰痛など筋肉の痛みと関連が深い。


《治療》

背中は脊柱起立筋ラインの太陽膀胱経絡に沿って、※背部兪穴に鍼を打っていく。


※背部兪穴とは、お背中の脊柱起立筋沿いに存在する、五臓六腑の重要なツボである。


腰部は、腎兪、志室、大腸兪などのツボを選択、下肢は、委中、崑崙など選択する。


ご本人は、鍼の経験は多いが、鍼が大の苦手な為、特に背中の鍼を打つ時は浅く切皮程度(刺入5mm程度)にした。

治療のためには、ある程度の刺激で響かせて得気をとりたかったが、筋緊張が強過ぎて仕方なく諦めた。無理に刺すと筋緊張で、針が曲がったり折れたりする可能性もあり危険だからである。先ずは安全第一である。


背中の鍼治療の後、筋緊張は少し取れているが、気血の巡りを良くするため、吸角を行った。吸角は、血液循環を良くするだけでなく、気の巡りもよくする。


7分そのまま置いて吸角を取ってみると、面白いことに背中は殆ど吸角の跡は付いておらず、左肩部分のみ赤い跡がある。


左肩は、治療前から痛みの訴えがあり、左肩だけ瘀血反応が出ている。身体は本当に正直なものだ。

そのため、左肩周りのツボ数箇所に、単刺にて鍼治療を行い、その後痛み確認すると肩は楽になっていた。


それに比べて背中の吸角の跡は、桜色で血液循環は全く問題ないご様子。

この反応から、瘀血など血の問題はなく、ストレスによる気滞症状による腰痛だという事がわかる。

この後、表面の治療も行い今日は終了した。


また、肝鬱気滞の養生法として、

ご本人に、走ったり汗をかく程度の運動すると気の巡りをよくする事、ゆっくり入浴など入りリラックスしたり、趣味の映画など観て気持ちを発散させる事などアドバイスした。


まだ今回のみでは、完全に腰痛は取りきれないが、幾分か楽になったご様子。

お仕事も大変ですが、早く腰痛から解放される日が来るように私も尽力いたします!









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